« 2008年5月 | メイン | 2008年7月 »

2008年6月24日

親指 (2)

以前、親指について書いたことがあった。太くて短いにもかかわらず非常に大切で、使い方がかなり難しい。だけど、親指の使い方って、あの時もそうだったけど、意外に意識的に勉強されていないと今も感じる。

でも私はこの親指殿を

<おぬし、侮れ(あなどれ)ぬヤツめ>・・ヽ(`○´)/


と思っているので、(←勝手な闘争心)今回は、普段あまり意識していない親指の使い方を書いてみたい。

親指って、黒鍵を弾く時と白鍵を弾く時、実は<第一関節から先で違う使い方をする>って意識したことある人はどれぐらいいるだろう。

黒鍵を弾く時は、誰でも自然と鍵盤に対して角度が斜めに入るように親指を置く。つまり第一関節から先は、特に内側に曲げることなく、指を“ほぼ”まっすぐに近い状態で使っている。この理由は、黒鍵の鍵盤自体の幅が狭いことを考えると、自然なことだ。

ところが、白鍵で同じ様に使うと、やってみればわかるが、隣の鍵盤も一緒に弾いてしまうことになる。そのために、白鍵を親指で弾く場合には、第一関節から先を内側に曲げたうえで、少し立て気味にし、指先より少しずれた角(かど)の部分を使ってひかなければいけない。

たとえば右手の親指で、半音階で上がってみればすぐわかる。ド、ド#、レ、レ#、ミと
弾いてよう。すべての音を親指を黒鍵を弾く時の形のまま弾こうとすると、非常にもたもたするうえに白鍵の時、隣りの音を触ってしまうだろう。

上記に説明した黒鍵での<親指の第一関節から先>の使い方を“横”、白鍵での使い方を"縦”と表現すると、ド、ド#、レ、レ#、ミを弾く時は、縦-横-縦-横-縦と使うことになり、これをうまく使うと、かなり素早く移動できる。

ついでに書いておくと、オクターヴでの音階などをすばやく弾くのが苦手な人の場合、ほとんどが親指が原因のことが多い。オクターヴの早い音階は、まず親指だけを練習するのが必須だ。その時次の二つのことに気をつけてほしい。

1) 親指の”縦”、”横”を意識的に使う。
2) その際、黒鍵と白鍵のできるだけ境目のあたりを弾く。先ほどのド、ド#、レ、レ#、ミで、右手の場合、白鍵のド、レ、ミを弾く時、黒鍵に近いところを弾くようにすると速い移動ができる。つまり、できる限り親指が鍵盤の奥に行ったり手前に来たり・・・と移動範囲が大きくならないようにする。

むむむ・・・親指殿、奥が深いな、おぬし。(-o-)


私のサイト FromBerlinへは
こちらからhttp://www.rikakomurata.com

2008年6月11日

画用紙からはみ出したクレヨンの絵、きれいに書かれた鉛筆の下書き

レッスンってなんだろう。
私の役割ってなんだろう。そんなことをふと考える時期がある。

私が、レッスンで生徒さんから持ってきてもらいたいものは、もしこの2つの絵に例えると、どちらだろうか。

1)画用紙にきれいに描かれた下書きの絵。

それとも、

2)勢いあまって、画用紙からはみ出してしまっている、クレヨンの絵。

それは、 2)である。

でも実際は、きちんと整えられた下書きの絵を持ってきて、・・これにきれいに色をつけてください・・・とばかりに、レッスンで遠慮がちに弾いてくれる人が意外と多い。もちろん、それはそれで、色をつければ、絵になるだろう。

でも、それは”私”の絵でしかない。

私が欲しいのは生徒さん自身から出てくる絵。はみ出していても良い、斬新でも良い。整っていなくても良い。

伝えたい何かさえあれば。

もちろん、何を書いても良いというわけではない。音楽には、作曲家という生みの親がいる。私たちは演奏家の使命は、作曲家が紙の上に残した音に、命を吹き込むこと。

だから、好きなことをして良いというわけではない。生みの親が、"家“をテーマとしていたら、それは家でなければいけない。木の家なら木の家でなければいけない。でも、それさえ守っていれば、そこから、私たちの想像力をたくさん取り交ぜることができるのだ。

どんな大きさの家? どんな形?
丘の上にある? 森の中にある? それとも、都会?
お昼の家の様子? それとも夜? 
その家には、誰か住んでるの? 

・・・それは、私たちが想像をふくらませて良い場所なのだ。それこそが、個性。
個性、というものを“好きなように演奏して良い”・・と勘違いしている場合もある。でも、それは違う。家は家でなければいけない。つまり、楽譜に書いてあることには、忠実にならなければいけない。

その上で、自分で精いっぱい想像力をはたらかせて、自分にしか書けない絵を、自分にしかできない音楽を持ってきてほしい。そして、私は1観客の目、耳として、こうしたほうがもっと伝わるかもね、と、一緒に考えて、より作品をその子の伝えたいものに近づけることができたら、一番幸せだと思っている。

ちょっとぐらい、はみ出していても良い。だから、<自分にしか描けない絵>を持ってきてもらいたい・・。


私のサイトMessageFromBerlinは
こちらから http://www.rikakomurata.com